第1日目
Samstag 08.03.2008


旅行前夜なのに友人と夜遅くまでチャットとかしてて結局睡眠時間は4時間になってしまったが、まぁいつもの事だ。
このへんは普段の不規則生活の強みである。

そんなわけで朝、さっそくセントレア空港へ。

中部国際空港、通称セントレアは2005年に開港したばかりの新しい空港である。
空港なもんだから当然外人もたくさんいるわけですが。Gaijin, gaijin.
建物の中はそりゃエアコンは効いてるけどまだ3月になったばかり。
しかしgaijin、上は半袖のTシャツのみ。日本ってやっぱ欧州から見れば充分南の島なんですかね。


ところで、ちょうどこの時空港で岐阜県の物産展が開催されており、
我が故郷・多治見のマスコット「うながっぱ」も来ていました。
その名の通りウナギと河童のキメラで、造物主はなんとやなせたかし先生!

あれ?うながっぱ意外とかわいいかも…。


うん、うながっぱがかわいい。それはいい。
だが……

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隣のドリル頭は何者だ。


近くのボードを見ると、それはどうやら隣街の土岐市にある核融合研究所のマスコットでした。
その名も「プラズマくん」いや、マテ。
ちょっとマテ。


プラズマとか核融合って言っておきながら
なんで
螺旋力が溢れてんだこの……
クサレ脳ミソがァーーッ!!



まぁ、ドリルはいいからさっさとチェックインを済ませる。
リュックとボストンバッグの2点を預け貴重品はノートPCと共に手荷物として機内に持ち込む。
尚、ここでうっかりデジカメを預けてしまったので1日目はこれ以上写真はありません。
すると予定の便がなんか10分遅れとかで1000円分の飲食券をゲット。
そんなに腹は減っていないが、当日限り有効なので使わないわけにもいくまい。そのへんの店に入って昼食をとる事に。


腹も膨れたところで時間になったので飛行機に搭乗。
飛行機はもう何度か乗っているけど、男なら離陸は興奮するよな!
重力加速度のベクトルが傾き、両足が体重から解放される。
眼下の海は陽光を反射し、ごはんですよのような粘性のテクスチャに見える。

安定飛行に入りシートベルトのサインが消えると、おしぼりをピンセットで配布される。
おしぼりはアルコールくさい。消毒しろってか。さすが国際線となると気合が違うぜ。

次に渡されたのは機内食メニュー。
あぁ、出るんだね。昼食。
さっき1000円分食ったばかりだが、タダならば、食う。それが貧乏学生のジャスティス。
タダっていうか料金に入ってるんだが、まぁ「もったいない」の概念は日本人の誇りである。


とりあえず飲み物の注文。メニューを見ると
・発泡ワイン
・赤および白ワイン
・蒸留酒
・ドイツビール

と、いきなりアルコール。
これに続きミネラルウォーター、紅茶、…、とソフトドリンクが並ぶ。
流石ルフトハンザ。ドイツの航空会社なだけはある。
なるほど…これがドイチュスタイルという事だな?
せっかくだから俺はこのドイツビールを選ぶぜ!

そんなわけで雲の上だから雲ひとつない真昼間からビールとおつまみをもらう。
おつまみは塩味の強いクラッカー。
形状はフランベルジェを思わせるM字型。表面に1〜2mm径の塩粒が付着している。
ビールは非常に飲み易い。子供舌で酒があまり好きではない僕でも飲める。
「なんで皆ビールなんて苦ェだけのモン飲むんだよッ!
無理して大人ぶってンじゃねェよ!」

とか思ってる人には是非飲んでみてほしい。


さて、そんなこんなで昼食も終えてしばらくすると、いい感じに眠くなってきた。
まぁ、10時間以上のフライトだし、行きの飛行機で手持ちの本を読み切ってしまうのもよろしくない。
そんなわけで、しばらく寝る事にする。

そして目が覚めると、機内は暗くなっていた。
時計を見ると、日本時間で大体22時。
あれー時差はー?と思いながら寝ぼけ眼をこすりつつよくよく見ると、窓がことごとく閉まっている。
じゃあ、外は…
少しだけ窓を開けると、光が差し込んできた。
そこには雪原のような雲!輝く太陽!蒼井そ…青い空!
これが時差か!
一通り時差を体感して感動し終わったら、さすがにこれ以上寝るとまずそうなので本を読んで残り時間を潰す。


再びシートベルト着用のサインが点灯した。アナウンスが入り、飛行機の高度が下がる。
地上を見ると、一様に赤い屋根が目に入った。
日本のように各々が好き勝手作ったような町並みなら
赤白ストライプな家だってあってもいいと思う。
しかし、ここは景観を重んじるヨーロッパなのだ。



ドイツ時間17:15、フランクフルト到着。
緯度が高いから日の入りとか早いのかと思ったが、この時間でも思ったより明るい。
だが、まだだ。ここからデュッセルドルフへ、今日のフライトはまだ続くのだ。

便が遅れた関係で乗る飛行機の変更手続きを行い、目的のゲートまで案内を辿る。
なんか妙に遠い。でかいぞ、フランクフルト空港。


うー、トイレトイレ。
ゲート前に到着するが、まだしばらく時間があるのでトイレへ行く。
そんなわけで、空港のトイレへやってきたのだ。
ドアを開けると、正面の壁に何かの自販機が備え付けてあるのが目につく。
日本人的感覚でちり紙でも売ってるのかなーと思ってよく見たら
ゴムだった。

いや、そりゃ避妊は大事だよね。
でもさ。なんでトイレで売るのさ。
まるでここで使えと言わんばかりに。



時間がきたら、今度はドイツの国内線でデュッセルドルフへ向かう。
この飛行機は翼の付け根が窓の上についているので視界が確保されて地上を眺めやすくてグッド。
…まぁ、もう結構暗くなってるんですけどね。


そんなわけで、デュッセルドルフ。
「MONSTER」では物語冒頭で主人公が勤めている病院があり、「PLUTO」では主人公の拠点がある街。
浦沢先生、ドイツ好きなのかな。


飛行機を降りたら荷物を取りにベルトコンベア前へ。
先述のように、預けたのはリュックとボストンバッグの2点。
しばらく待っているとボストンバッグが流れてきたので回収。しかし、待てども待てどもリュックは来ない。
乗客の荷物が全て回収され、ベルトコンベアが止まる。しかし僕のリュックは未回収。
いやいやいや、待て待て待て。俺のリュックは何処だッ!

早くもイレギュラーな事態である。
仕方が無いので係員に訊いてみると、どうやら私のリュックはまだフランクフルトにあるらしい。
乗り換えの際、荷物の移し変えに不手際があったのだろう。まぁ、遅れたり便の変更とかあったからなぁ。
とにかく今日中にはどうしようもないので今日明日の日程を伝え、明日の宿、ケルンに届けてもらうことになった。



空港を出ると、もう21時近くになっていた。
宿の予約はしてあるが、あんまり遅くなって勝手にキャンセルとかされたら嫌だし
とりあえずタクシーを使ってみる事にした。

欧米人はアジア人の顔の区別がつかないというが、そこは流石に空港付近の運ちゃんである。
僕が日本人である事を一目で見抜き、「ドーモドーモドーモ」とか
知ってる日本語を披露してくれた気さくなおっちゃんだった。

おっちゃんが言うには、デュッセルドルフはかなり日本人の多い街なのだそうだ。
そんな話をしながら、僕は左ハンドル・右側通行に思いの外違和感が無かった事に驚いていた。


宿まで、タクシーの運賃は18ユーロ。この旅行中は大体1ユーロ≒155円くらいなので、2790円程。
オイオイおっちゃん、宿代がいくらだと思ってるんだい?
今夜の宿代は異常なお値打ち価格、20ユーロ(≒3100円)。
これがユースホステルだ!
発祥の地ドイツの言葉でユーゲントヘアベルゲである!

ユースホステルは格安の値段で宿泊できるが、基本的に客同士の相部屋になっている。
今夜限りのルームメイトとの国際的な交流とかも多少なりともあるのだろう。
どきわくしながらあてがわれた部屋に入ってみると、誰か居るようなのでとっさに「ハ…ハロー」とか言ってみる。
すると彼もこっちを向き、挨拶を返して……


……
………

どう見ても日本人です。
本当にありがとうございました。



どうやらその人、フランスに留学中の学生さんでした。
数日前からドイツにいるようなので気になっていたストの情報を訊いてみると
別にそんな事はなく、鉄道は問題なく動いているらしい。現に彼はケルンから普通に鉄道で来たそうな。


ベッドメイキングはセルフで。
シーツを布団に被せるのだが、構造を理解するのに数分かかってしまった。
メイドさんはこれを毎日やってるんだなぁ。

その後、売店や食堂の位置を確認する為に部屋の外へ。
ロビーに行くと、さっきの日本人学生が白人さんと何か話をしているので、会話に参加。
この白人さんイギリス人で、どうやらN○VAの講師をやっていたそうな。
ちょうどN○VAが不祥事で外国人講師が片っ端から解雇されたニュースが記憶に新しい時期で、
もしや事件の被害者かと思ったけど、講師だったのは数年前の話だそうだ。事件とは無関係。

それからしばらく英国紳士と会話を楽しんだ。
話題は文化の話から何故か政治の話まで、
片言の日本語で話す英国人と、拙い英語で喋る日本人。
傍から見たらちょっと滑稽かもしれないが、
何だか知らんがとにかくよし!

ジェントルマンに売店の場所を教えてもらい、とりあえず飲料水を購入。
その後部屋に戻ると、意外!イングリッシュマンも同じ部屋だった。なるほど、だから日本人の彼と話してたのか。

寝る前に友人にもらった薬を飲む。
ロート製薬のビタレスト。
寝てる間に疲れをとってくれるという錠剤だ。これを先程の水で飲む。

…不味い。
炭酸入りの只の水。かーぼんだいおきさいどだずんとていすとぐっど、である。
そういえばこっちの水は炭酸入りだとか聞き覚えはある。
しかも量は海外スケールでデカい上に、ボトルはガラスで重い。
………明日はこんなモンを持ち歩かなきゃいけないのか…。