第2日目
Sonntag 09.03.2008


その日の朝は、ポニテ萌えで始まった。

ユースホステルは朝食つきである。
これがドイツで初めての食事らしい食事になるわけだが、先ず、チーズが美味い。
パンはブレートヒェン、ライ麦パンなど早速ドイツ的なパンがある。
ハムの種類が妙に豊富で驚く。さすがお肉文化圏。
野菜と一緒にパンに挟んで食べるのが作法らしい。

だが。この時はそんな事よりも
奥のテーブルに座る女の子が異常に可愛い事の方が気になっていた。
栗色のポニーテールに、鼻の高い白人らしい顔つき。ハイネックの赤いセーターはボディラインを強調している。
可愛い、ってより美人といった感じだ。

      
                 ↑うろおぼ絵


ドイツっ娘に見とれていると、誰かが僕のテーブルに相席してきた。
誰だよジャマすんなよ。

誰かと思えば昨日の英国人だった。今は日本人の彼はいない。サシである。
昨日と同様、互いに相手の母国語で会話しながらゆっくり朝食をとった。
ちなみに話題は何故か朝鮮問題にまで及んだ。



朝食が済み、一夜限りのルームメイトと別れていざチェックアウト。
天気は曇り、時々雪。まぁ、雨でないだけ良しとしよう。
それにしても、外に出ても意外と寒くない。
もしかして北海道の方が寒いんじゃないだろうか。

そして、デュッセルドルフを歩き出す。(脳内BGM:少佐のIevan Pollka)
駅まで地下鉄を使おうと思っていたが、大した距離じゃなさそうだったので歩く事にした。
べっ、別に道がよくわからなかったとか、
地下鉄の乗り方がわからなかったとかそんなんじゃないんだからねっ!



ライン川に架かる橋を渡る。
ラインの黄金だとかローレライだとかよく知らないけど。



時刻を告げる鐘の音が街中に響く。
毎週日曜日は教会でミサなんてキリスト教徒は大変だなー、なんて思っていたが
どの町もちょっと歩けばすぐに教会が見つかった。意外にもそこまで大変じゃなさそうだ。


デュッセルドルフ中央駅に到着したあたりで尿意に襲われて、トイレを探す。
すると、トイレの入り口に回転ドアと、料金ボックス。

…そういえば外国はトイレに行くのに金がかかるとか聞いた覚えがある。
く…くやしいっ!(ビクン)仕方なく70セント払って入場。
しかし中はさすがに有料だけあって、駅のトイレのくせに奇麗。
外人が日本のトイレを絶賛する話はよく聞くから意外である。


その後、路線図を探す。
ジャーマンレイルパスがあるので、切符は気にしなくていいが、どれに乗ればいいのかわからない。
探すのに時間がかかったが路線図を発見。
しかし、うっかり反対方向の列車に乗ってしまい、
デュッセルドルフ空港駅へ意味もなくリターン。


空港駅にて列車を待つ間、昨日の水を落として割ってしまった。
やった、これでコイツを飲まなくていいぞ!それに荷物が軽くなった…
いや、わざとじゃないぞ。



さて、今日の目的地はケルン。
今回の旅は主に古城巡りだが、
せっかく大好きなヨーロッパに来たのだからキリスト教世界っぽいものをいろいろ見てみたい。
そこで、ここケルンの大聖堂。
1880年に完成した世界遺産で、中央祭壇の奥には
キリストの誕生を予言した東方三博士の聖遺物が納められているという。

そんなわけでドイツの列車に乗ったのだが、鉄道事情は特にデカルチャー。
先ず、ドイツには改札が存在しない。その代わり、乗車中に車掌が切符を拝見する。
その際不正への罰則は大きいらしく、これにより無賃乗車をリスキーにしているのだろう。
或いは国民性によるのだろうか。
また、自転車の乗り入れが可能で、車内には自転車を置くスペースがあったりする。
日本じゃ人口密度が異常で満員電車がデフォだから真似できないだろう。
犬なんかも普通に電車に乗っている。そこはそれ、流石によく躾けられた犬だったけど。

12時過ぎ、ケルン到着。
もっと早く着くつもりだったが、まぁいい。今回の旅行スケジュールにはかなりの柔軟性がある。
もっとも、それは無計画とも言えなくもないが。

ボストンバッグはとりあえずコインロッカーに預ける。
このコインロッカーがまた気合の入ったシロモノで、

この大掛かりな箱の中に荷物を入れてお金を入れると、地下の貸しスペースに荷物を置いてくれるという仕掛けだ。
ちなみにお値段は1回4ユーロ(≒620円)。



ケルン中央駅を出て目の前に、大聖堂はある。
しかしその前に昼食をとる為、先に町を歩く事にした。

ドイツには閉店法があり、日曜日は閉まっている店が多い。
が、飲食店は大体開いているし、観光客や大道芸人で賑わっている。


閉まった靴屋の店先に日本語を発見。でも、
化けてる、文字化けしてるよ!ムガってなんだよ!無我かよ!
そもそも靴屋なのになんでコーラガムなのさ!


昼食は町のパン屋さんでブレーツェルを購入。
独特な形状のパンで、でかい塩の粒がまぶしてある。
塩味がキツ過ぎたので、粒を落として食べたが、パン自体も結構でかいので、昼食としては半分で充分。
残りは小腹がすいたら食べる事とし、空腹も満たしたので、いざ、大聖堂へ。



大聖堂正門前の階段を上った所に、それはあった。

おそらくは大道芸人である。
置いてある缶にお金を入れると動き出し、お辞儀をする。
動きが人間の重心を無視しており、とても生物の動きとは思えないが
周りにも似たような芸人がいたし、顔がどう見ても生身の人間で間違いなく芸人なのだろうけど、
あまりにも見事すぎていまだにロボだったんじゃないだろうかと疑っている。



大聖堂・内部

中に主だった言語のパンフレットが置いてあるので日本語のパンフをとり、1ユーロ払う。
パンフの最後のページによると、このすぐ近くに教会の案内所みたいなものがあるらしい。
その中で気になった一文↓

霊的・社会福祉問題についての相談に応じます

そういえば以前、ローマの魔王様がエクソシストを育てるって言ってたな。



東方の三博士の聖骨を納めた聖櫃。
東方の三博士の名前が使われたサブカル作品で最も有名なのはエヴァンゲリオンのマギシステムだろう。
東方三博士とか東方projectには多分無いと思うが、
私はゼノオタなのでゼノギアス及びゼノサーガに思いを馳せる。


大聖堂の威容は157 mの高さを誇る2本の塔から成り、この塔は2ユーロで登る事ができる。
こりゃ登るしかないだろ!なノリで登ってみる事に。
入り口の門をくぐると、螺旋階段が始まる。
壁は世界遺産にもかかわらず結構らくがきだらけだった。

そんな中、日本語のらくがきを発見。



「健二&恭子 結婚おめでとう from K.A」

こういった場所へのらくがき自体恥ずべきものであるが
内容のレベルももうね、見てらんない。

健二と恭子の友達のK.A
落書き消しにもっぺんケルン行って来い!


塔を下りて、今度は売店で土産をあさる。
ここでは大聖堂の鐘の音CDを仕込んだポストカードとローマの魔王様ポストカードを購入。

鐘の音ポストカード
  

鐘の音CDを仕込んだポストカード。
画像右側の宛先面を破ってCDが出せるようになっている。

だがそれにしても…


何ですかコレは。
本気で法王様っていうより魔王様ってデザインじゃないですか。


どっかの暇人がネタで作ったコラとかじゃないんですよ。
大聖堂の売店で売ってる公式のポストカードが
ごらんの有様だよ!!



それから駅でボストンバッグを回収して、町をふらつきつつケルンのユースホステルへ。
宿に着くと、フランクフルトに置き去りにされたリュックがちゃんと届いていた。
ようやく装備が整った。これで地球の歩き方を見る事が出来る。

部屋では、また日本人にあった。しかも2人。どうやら宿側がそういう気遣いをしてくれるらしい。
1人はルクセンブルクのパティシエ見習い。
もう1人は僕と同じ大学の人。同じく卒業旅行。
なんと奇遇な!

夕食はせっかくなので同郷の彼といっしょにいかにもヨーロッパ!的な店へ。
ドイツという事でとりあえずソーセージとビール。
ドイツのソーセージは都市ごとにそれぞれ特色があるらしく、
例えばニュルンベルクのソーセージ(ニュルンベルガーヴルスト)なら小指ほどの大きさだし、
ミュンヘンの白ソーセージ(ヴァイスヴルスト)はその名の通り白く、必ず茹でて食べる。
なら我々が普段フランクフルトと呼んでいるのは、やはりフランクフルターヴルストなのだろうか。
そしてこの店のオススメが、全長1mのソーセージであった。
それがケルナーヴルストなのかはわからなかったが、とにかく1mは恐ろしい。
食べきる自信が無かったのでここは普通っぽいソーセージを頼む。(ヘタレ)
いや、いくら名古屋のマウンテンに歩いて行ける所に住んでるからって
こんなトコに来てまでチャレンジャーじゃなくてもいいじゃない!


同郷の彼はヨーロッパ周遊みたいな感じで結構旅をしているようで、ドイツには今日入ったらしい。
彼によると、こんな奇麗なユースホステルは他の国にはなかったそうだ。なんと東京ですら汚かったという。
ドイツで初めてユースを利用した僕は、それがスタンダードだと思ってしまってました。
どうやら他の国のユースへ行くときは覚悟が必要のようです。


それとストの話ですが、もしかすると明日からあるかもしれないとの事。
何故かと訊いてみると昨日今日が土日だったから、という理由だそうで。
オイオイ、閉店法はストにも有効ってか?


そして宿に戻り、今夜は就寝。
明日はいよいよ一つ目の古城訪問である。

ところで、一人旅をしてても日本人や同郷の人に会えばつい集まってしまうのは
中世の大学における学生団(ナティオ)みたいでなんか面白いなぁ。