第4日目
Sunday 2 May, 2010


もちろん朝はイングリッシュ・ブレックファスト。
ユースホステルより小規模な宿なので、一昨日のエディンバラより少し家庭料理っぽいです。

家庭的な英国料理。

「うん、まずい!」と、青汁のように素直に言えない、そんなほどほどの不味さを堪能。

これから乗る電車はローカル線だからなのか、
トーマスクックを見ると日曜日は10時とかからしか動かないようなので
今朝はのんびりゆっくりまったりと過ごして宿を出る。


今日は修道院の廃墟を見学しにティンターン村を目指します。
その為に先ずはローカル線でチェプストーなる町へ赴く。
チェプストーは国境ギリギリではあるがウェールズの町で、グロスターからは30分程度。
車窓の外、農場だか牧草地だかの緑色を眺めていると、ふと突然円形のわだちが視界に入り、そして去っていった。
…ま、まさかミステリーサークル!?さすがイギリスだぜ!



チェプストーの町に着いたら、先ずコインロッカーを探してみる。
うん。無いね。あぁ、わかってたよ。

またもや地球の歩き方に載っていない田舎町だが、
この町からバスでティンターンに行ける事と、その時刻表は事前に調べてある。
次にバスが来るまでまだ1時間程ある。バス停の場所がわからないが、
まぁ1時間もあれば余裕で見つかるだろう。
地図がなくとも適当に町を彷徨っていれば、ほらバスステーションの標識を発見。
バスステーションに着いてもまだまだ時間はたっぷり余っていたので、近くのスーパーに入る。

お菓子の棚を見てみると、ケトルチップスが売っていました。
ケトルチップスとはアメリカで人気のポテトチップスで、日本では西友が輸入しているようです。
健康?何ソレおいしいの?といわんばかりの塩と油が
いかにもメリケン!って感じで私は大好きです。

海原雄山先生あたりに怒られそうですが、
まぁ、そこは名古屋圏民の味覚ってことで。

西友で見たラインナップとはサイズや色の異なるケトルチップスを1袋と、
昼食用にパン、りんご、水を購入したら、スーパーの外のベンチでバス待ち。



バスが来たら、ティンターン村まで10分程度。
これから向かうティンターン・アビーについては、出国前、予習の為に
「イギリスの修道院─廃墟の美への招待」という本を読んでおいたが、
それによるとチェプストーからティンターンのバスは「お世辞にも乗り心地がよいとは言えない」とあったので
いったいどんな酷いバスだろうとワクワクしていたら、別にそんな酷い事はなかった。
カーブが多かったので右へ左へ遠心力がかかるけどそのくらい別に大した事じゃないし、
そもそもそれはバスのせいではないわけで…さては筆者、セレブだな?

そして到着、ティンターン村。
バスから降りれば、もう目の前にティンターン・アビー。

この遺跡の事は、
英国メイドについて予習するべく
『エマ』の森薫先生のブログを読んだ時に知りました。



凄まじい非日常感をもって迎えてくれる修道院跡、ティンターン・アビー。

ウェールズで最も美しいと言われたティンターン・アビーは、
イングランドとの国境であるワイ川の川辺にその姿を残しています。

1534年、カトリックの教えじゃ離婚・再婚ができなかったヘンリー8世は自分で英国国教会を立ち上げましたが、
この宗教改革でスペインやフランスなどカトリック派の大国を敵に回す事になるため、
1535、6年あたりから英国中の修道院をガンガン解散させて財産を没収し、来るべき戦争に備えました。
このティンターン・アビーもまた、そうして破壊された修道院の一つなのです。





18世紀頃には「ピクチャレスク」と呼ばれる概念が流行し、こうした廃墟に世の関心が向けられました。
「ピクチャレスク」っていうのは、要するに「絵になる」って事。
そうして現在にまでこのような遺跡が保存されるに至ったというわけです。

まぁ、廃墟の良さってのは改めて言うまでもないですがね!軍艦島とか!

持ってきたデジカメのメモリ容量は計24GB。最高画質でも1日500枚は撮れる計算である。
中世の修道院の生活に思いを馳せてうっとりしつつ、遠慮も容赦も慈悲もなくバシバシ写真を撮りまくる。でもメモリは全然余裕。

3時間くらいして、むしろ先に電池が切れたあたりでようやく飽きました。
まぁ、電池のスペアも用意してあるのですが。

その後は売店で土産を買って、バス停でパンをかじりながら帰りのバスを待ちました。
いやぁ、廃墟って本当にいいもんですね〜。



チェプストーに戻ると、次の電車までまた1時間近くある。
今夜の宿もノープランなので、ゆっくりそれを考える事に。
やはり宿を確保するにはそれなりに大きい街に行きたいところだが、
次に来る電車の終点はカーディフ。ウェールズの首都である。
これまた行くつもりのなかった街だが、いいじゃないか。カーディフ行こうぜカーディフ。


カーディフ駅。

緑字の"Caerdydd Canolog"はウェールズ語です。
緑の/を挟んで右の黒字はその英語表記で"Cardiff Central"。
うん、ウェールズ語まったく読めねぇ!

地球の歩き方によると、2件のホステルがあるようだ。要するにユースホステルの会員制じゃないバージョン。
ベッド数の多い方のホステルに入ってみると、1階はパブになっていた。
それってINNじゃん!いいじゃん!すげーじゃん!


難なくチェックインしてあてがわれた部屋(個室でした)を探す。

部屋番号が照明で表示されてて超オサレ。

で、僕に割り当てられた部屋の扉は…

表示なし。

イジメかよっ!




荷物を置いたら、せっかくカーディフに来たのでカーディフ城を見に行く。
もう城には入れない時間だけど、城壁だけ眺めて歩いても厨二魂がくすぐられて充分楽しい。

城壁と角塔。


角塔を正面から見ると…


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       |/__
       ヽ| l l│<ハーイ
       ┷┷┷

へーベルハウスだ!!


角塔の上の方をよく見ると、壁から木の棒が外に突き出しているのがわかります。

これはおそらく高所で作業する時に足場を組む為のものだと思われます。

こんなふうにッ!

参考画像: スティーヴン・ビースティー 画 / リチャード・プラット文 / 桐敷真次郎訳
        「ヨーロッパの城 中世の人々はどのように暮らし,どのように敵と戦ったか」 (岩波書店)より



宿に帰ったら、パブでビタービールを飲みつつ酒場の雰囲気を楽しむ。
何やらステージではロックなバンドが演奏している。
見ているとなんかギタリストがギターを後頭部のあたりに構えて演奏し出した!
これは何?アレか?
「出たーーー!クラウザーさんの×××奏法だーーーッ!」
とかなんとか叫んだりするトコなのか?



その後はビタービール一杯で眠くなったので、さっさと部屋に戻って眠りにつきました。