第6日目 |
Tuesday 4 May, 2010 |
旅をしていると自然と早寝早起きになるため、普段の生活とうってかわって健康的な生活リズムとなる。 今朝も7時頃には自然に目を覚まし、あと30分〜〜〜とか言ってごろごろしていると、 突如けたたましい騒音が耳をつんざいた! 何事かと思って跳ね起きると、天井に設置されている警報機らしきものが赤く光っている。 どうやらコレが音源のようだ。 この部屋の報知器が鳴ったという事は、異常があったのはこの部屋なのか!? 俺か?俺が悪いのか!? 電気ヒーターが何かに引火したか?ドライヤー使いまくったのは関係ないよな!? すぐさまベッドから飛び降りて室内を確認する。 電気ヒーターはつけっぱなしだが、火は出ていない。煙ひとつ確認できない。 臭いは……無臭。焦げた臭いは感じられない。他に火の出そうなものを探すが見当たらない。 この部屋に異常は見られない。では他の部屋か!? と、慌てふためいた数秒後、警報は止まる。 …止まる?警報が? 部屋から出て周囲の様子をうかがうと、他の客は何事も無いかのようにのんびり歩いている。 慌てた素振りを見せる人は誰一人としていない。食堂では平和に朝食をとっている人がいる。 …誤報だったのか? とりあえず異常はないようなので部屋に戻り、時計を見たとき私は気付いた。 時刻は7時20分。ホテルの目覚ましをセットした時刻である。 …え、コレもしかして目覚まし? 何事もなかったのでのんびりと朝食をとり、9時頃にウォスターを発って今日の町を目指します。 今日訪れるのは、学術都市オックスフォード。 そう、説明不要の世界的超エリート大学、あのオックスフォードです。 10時半頃、オックスフォードに到着。 ![]() オックスフォードの町並み。すごく、普通に、町です。 歩いていると、そんな普通な町並みに大学の建物が隣接しています。 時々レポート用紙だかを小脇に抱える学生を見かけては 「この人達が世界の最先端を切り拓いていくんだなぁ〜」と、勝手に尊んでみたり。 ![]() 大聖堂とカレッジを合わせ持つクライスト・チャーチ(だと思う)。 オックスフォードは、「大学の中に町がある」と言われるように 大学の建物が町のあちこちに点在していますが これには大学と都市の歴史的背景が関わっていると思います。 中世において学生と教師の生活の場は下宿屋や学寮でしたが、 学舎は同じ都市にあるというだけで、ロケーションは統一されておらず 都市の建物を借りたり買ったりしていました。 だから歴史の古い大学は「大学の中に町がある」ような形になったのでしょうね。 ![]() マートン・カレッジ(多分)。オックスフォードの中でも最古の常設大学だそうです。 中世ヨーロッパの社会において、人々はギルド(同職団体)に所属して生活しました。 ギルドが親方・職人・徒弟から成るように、初期の大学は教師と学生のギルドと見なされていたのです。 教師を意味するラテン語magister(マギステル)など、そのまんま親方の意味でもあるくらいに。 英語でマスター、ドイツ語でマイスターに対応する言葉と言えば少し解かりやすいかもしれません。 遍歴職人が旅するように、大学には遠方から教師や学生が集まり、 当時の学術世界の公用語であるラテン語によって様々な国々の人々が共に学びました。 まぁ、それでもついつい同郷同士でグループ(国民団(ナティオ))をつくったりして、 そうしてつるんだ学生達は、夜には町に繰り出して、学生街の酒場で議論を交わしたのです。 ![]() 欧州の住所は通りの名前で示されるのですが、ここは「LOGIC LANE」。 厨二っぽく訳せば「理の小道」といったところでしょうか。 無駄にかっこいいです。 ![]() 町の中心におっ立つカーファックス・タワー。 カーファックとかエロエロですね!(違) オックスフォードは町そのものが見たかっただけなので、一通りふらついたら満足して次の町へ。 次の目的地のカンタベリーへは、オックスフォードからだとロンドンを経由する事になるので 今夜はロンドンに泊まる事にします。 そんなわけで、ついに帝都倫敦です。倫敦どんより晴れたら巴里(絶許)。 ロンドンといえば、いろんな漫画の舞台になっていますね。 例えば機能特化型フランケンシュタインが人知れず戦ったり アステカの仮面をつけた吸血鬼がWRRRYYYY戦ったり、 ナチとカトリックと吸血鬼がクリーク戦ったり、 なんなのこの街、カオス過ぎる。 ロンドンには数多くの鉄道駅が存在しますが、 今回オックスフォードからの列車が着くのはロンドン・パディントン駅。 地球の歩き方でベッド数が多いユースホステルにあたりをつけたら、 ロンドン市内は地下鉄で移動します。 ![]() 地下鉄のエスカレーター。 イギリスの車道は日本と同じ左側通行ですが、エスカレーターは右寄り推奨のようです。即ち大阪スタイル。 ドイツだと車道もエスカレーターも右側で、 これって追い越し車線の発想から来てると予想していたのですが、別にそんな事はなかったんですかね? ただ、日本のエスカレーターは片側に寄る事を推奨してないですけどね。 地下鉄での移動にはオイスター・カードと呼ばれるプリペイドカードが便利。 まぁ、要するにSuicaです。僕はPASMO派ですが。 ![]() オイスター・カードと専用カード入れ。 カード入れに印刷されているのは家具メーカーIKEAのロゴ。 でも広告だからって、 Home is the most important place in the world. 「やっぱり家がいちばん!」 よりによって鉄道パスにそれはあんまりだよ! それが鉄道パスの言う事かぁー! 鉄道パスだから言えんだろォー! 円筒形の形状から「チューブ」の愛称で親しまれる地下鉄に乗ってグレートポートランドストリート駅へ。 ユースホステルで荷物を降ろしたら、夕食のついでにさっそく夜のロンドンを徘徊。 ヘイ・オン・ワイの(有人の)本屋では漫画はあまり見つけられなかったが、大都市の本屋ならばどうだろう。 そんなわけでロンドンにおける漫画事情を調査すべく本屋へ。 やはり日本の漫画の翻訳版が目につきやすかったが、 英国産の漫画も(ドイツと比べたら割と簡単に)見つかりました。 シェイクスピア作品のコミカライズがシリーズ化しているのがなんか英国っぽくてで好印象です。 そんな中、漫画じゃないけど私の目に止まった一冊の本が ![]() 日本のサブカル辞典。 いいですね。オタク文化がヨーロッパに受け入れられたらとても嬉しいです。 私の子供の頃の夢は、 私の漫画でヨーロッパを文化侵略するというものでした。 ごめん。嘘。今思いついた。 それはそうと、この本は「萌え」に代表されるオタク文化の解説をしている本ですが、 とりあえず適当に開いた"N"のページで解説している項目は、 「Nice Boat」、「2ちゃんねる」、「ニコ厨」、「ニコニコ動画」、「二次元フェチ」、「二次元初恋」、「二次創作」 Nice boat.入ってるのかよ。 後で奥付を見たら、外国で売る前提ではあるが日本で出版されたもの、といった感じのようでした。 更に、序文を見るにどうやらアメリカ向けの本だったようです。 イギリス関係ねえええぇぇぇ! 夕食を求めてさまよっていると日本食の店を発見。 ![]() ![]() チョップスティックスはあれど、ソイソースは無し。枝豆は塩気がゼロ。 アボガドを巻く寿司は日本でもあるけど、それはスタンダードじゃないと思うんだがなぁ。 まぁ、外国の日本食なんてこんなもんですかね。 食事も済んで、もう少し街をふらふらしていると、 気がつけば周囲の建物には裸のおねーさんのパネルがでかでかと飾ってあったりで、 どうやらうっかりいかがわしい雰囲気の区画に迷い込んでしまったようです。 そんな中、異色を放つ建物を発見。 その建物を飾る写真は、セクシャルな男の筋肉。 これはゲイバーかそれに類する何かなのか? それとも、そういう人の為の風俗店なのか? せっかく旅に出たのなら珍しいものはよく見ていきたい、体験はリアリティを生む、とは言え 薔薇もBLも否定はしないが俺は嫌だ、ノーマルだ、ノーマルの変態だ というのが私のスタンスです。 だからコレも、外から眺めるだけに留めます。 そんなワケで 手で顔を覆いつつ、指の隙間からガン見する思春期の女の子のごとくじろじろと見ていると、 誰かが私に近づいて声をかけてきました。 齢は50〜60くらいでしょうか。白いヒゲを短く生やした老人でした。 黒いコート姿がいかにも英国紳士的です。 ほほう、まさかここにきて英国紳士と話をする機会が来るとはね。 家族との会話ですら平静を装うのに努力が要る程度のコミュ障的には避けたい所なんだけどね! さぁ、英国紳士がこの変態紳士に一体何の用かな! そして老紳士は言いました。 「Are you gay?」 ポン引きかよ! まずい! ここで弱みを見せてはいけない! ここでカモな日本人になってはいけない! もしもこの状況に流されてしまったら……… アッー! 「NO!NO!NO!NO!」 叫びながら、両手を突き出し掌を広げ、高速で首を横に振る。 一歩、二歩と後ずさり、三歩目で走り出す。 そして僕は、逃げ出した。 この時私は、これまでの人生の中で 最大級の身の危険を感じたのだった……。 |
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